ワンワンワン111

西部戦線異状なしのワンワンワン111のレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(1930年製作の映画)
4.8
冒頭の出征パレードの熱が人を狂わせる。あの環境において出征への異論は言えない。雰囲気は人の思考を強固にする。いい意味でも悪い意味でも。

物語の中盤でも、なぜ戦争をしているのか。なぜ人を殺し合うのか。兵士が意味を自問していたけど、答えは見つからない。兵士1人1人には明確な理由がなく、ただ出征させられたことに絶望を感じる。戦争指導者さえも、戦争をしている意味が理解していないとも思える。

そんな状況で、のんびり暮らしていた若者を戦場へ駆り出してしまう。敵を殲滅し国を守るという曖昧な理由を若者に押しつける。けれど、戦争する理由は誰も分かっていなくて、ただ戦争に参加する輩を増やしていくという浅はかな数値目標を達成することに懸命になる。

総力戦という無駄なことをやめて、戦争指導者が取っ組み合いで勝敗を決めればいい。総力戦で誰が利を得るのかを忘れてはならない。