安堵霊タラコフスキー

ラルジャンの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

ラルジャン(1983年製作の映画)
4.9
当時既に高齢だったこともありブレッソンが最後に撮った映画となったが、なるほどキャリアを締めくくるに相応しい集大成的作品となっていた

この作品は最後にして一番救いのない話になっているが、それをお馴染みの質素な演出で描いているためその悲劇性がより強調されることとなっていて良い意味でとても後味が悪い

クライマックスのあの決定的なシーンにしても、破壊的行為が淡々と行われるためその行為自体が前面に出て強烈な印象を受けることとなった

そして淡々としているが故に、ということでいえばこの作品では珍しく人物が感情を露わにする場面が一箇所だけあり、他の監督の作品ならば普遍的なシーンだがブレッソンがこれまでやってこなかったものであるため逆に非常に印象に残るものとなり面白かったのだけど、やはり最後と決めていたからあえてそういう演出をしてみたのだろうか