Keiseihhh

戦場のメリークリスマスのKeiseihhhのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
3.7
名作!と褒めそやすほどには惜しくも行かない映画。坂本龍一、デヴィッド・ボウイ、北野武という錚々たる顔触れ、アイドルを揃えておきながら、それを裏切りファンの期待の真逆を行くように懲罰シーンや捕虜を隷属させるシーンが続く。同性愛も一面扱っているがそこへ辿り着くまでに、現実の重さ、過酷さを描くのはいかにも大島渚節「かも」しれない。エンタメ性や肝となる部分が中々ない作品であり、途中で脱落した役者陣のファン、特に女性陣は多く見られたと想像出来る。クライマックスにかけては一気に味わい深さが増すがそこまで耐えられるかが鍵。ラスト、ローレンスに「メリークリスマス!」と呼びかけるハラ軍曹(北野武)のシーンは映画史に残ると言っても過言ではない。だがそれを加味してもポイントは3.7。序破急の序破が悪すぎた。文芸的作品と言ってしまえばそれまでだが。ちなみにデヴィッド・ボウイが「この作品のようにイギリス人が日本人を描いたら日本人は差別と言って騒ぐだろうね」と後にコメントしていたのも忘れてはならない。戦時下においても、というより戦時下だからこそ人類愛は普遍的に存在すると描いた点は大いに評価出来る。
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