シミステツ

戦場のメリークリスマスのシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

強い信念を持つ英国陸軍少佐のジャック・セリアズはヨノイ大尉の慮りもあり死罪を免れる。何故ヨノイはセリアズを信じ、歩み寄ったのか。その後がとても気になって魅入っていくことになる。

切腹、舌切りのシーンはエグかった。

セリアズに関心を寄せるヨノイ。そしてセリアズとローレンスの邂逅。

その後、無線機を持ち込んだ罪でローレンス、セリアズは処刑を余儀なくされるところだったが、誤解だということで釈放されることになる。ここではハラの「許し」が描かれる。

ファーザー・クリスマス。
「メリークリスマス、ローレンス」

そして中盤以降、セリアズが戦場に赴く前のいじめられっ子の弟とのエピソードが回想シーンとして描かれる。いじめられる自分の弟を不都合に思い助けなかったセリアズ。得意な歌がトラウマになり歌を二度と歌わなくなった弟と疎遠になってしまった経験を持つセリアズは、これを後ろめたく、戒めのように生きている。

終盤、いつだって仲間のため、強い信念と博愛を持って立ち向かうセリアズが仲間の処刑を前にヨノイへ英国式挨拶を交わしたシーンが印象的。

ラストのシーンではヨノイは土に埋められ死を遂げたセリアズの髪を切り採取。ローレンスに預け神社に奉納してくれと頼んでいたという。

「あなたは犠牲者なのだ。かつてのあなたやヨノイ大尉のように自分は正しいと信じてた人々の…もちろん正しい者などどこにもいない」

「セリアズはその死によって実のなる種をヨノイの中にまいたのです」

戦争下の非人道的な側面を冒頭厳しくも描きつつ、人間は誰しもさまざまな立場にいながら許し許されながら生きているのだというメッセージが伝わってきた。セリアズのように信念や尊厳を大切にしたいと、強く思えた。セリアズが周りに与えた影響は大きいし、絶対的に正しい人なんかいなくて、過ちから、反省から人は変われるんだと思わせてくれる。戦争下において歪んでいった人間に確かなる希望をも垣間見せてくれた、心の中に大切に留めておきたい映画でした。

「メリークリスマス。メリークリスマス、ミスターローレンス」