ナツミオ

戦場のメリークリスマスのナツミオのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
4.0
WOWOW録画鑑賞
【追悼・坂本龍一】

“セリアズはその死によって
 実のなる種を
  ヨノイの中にまいたのです。”
〜ロレンスからハラに向けて

数十年振りの鑑賞。

大島渚が第二次大戦下のジャワ島を舞台に、日本軍のエリート士官と捕虜の連合軍将校らの交流を描いた極限の人間群像ドラマ。坂本龍一、デヴィッド・ボウイ、ビートたけし、ら異色のキャストが好演。

受賞
・ナショナル・ボード・オブ・レビュー(1983年) - 男優賞(トム・コンティ)
・英国アカデミー賞(1983年) - 作曲賞(坂本龍一)

原題 『Merry Christmas Mr. Lawrence』

1983年英・日・豪・ニュージーランド作品124分
監督・脚本 大島渚
製作 ジェレミー・トーマス
原作 ローレンス・ヴァン・デル・ポスト
脚本 ポール・メイヤーズバーグ
音楽 坂本龍一
撮影監督 成島東一郎
撮影 杉村博章
出演 デヴィッド・ボウイ 坂本龍一 ビートたけし トム・コンティ ジャック・トンプソン 内田裕也 ジョニー大倉 室田日出男 

(WOWOW番組内容より)
1942年、太平洋戦争下のジャワ島。日本軍の捕虜収容所では厳格なエリート士官の所長・ヨノイ大尉(坂本)、粗暴ながらもどこか憎めない古参のハラ軍曹(たけし)らのもと、英軍将校ロレンス(コンティ)ら数百人の連合軍捕虜が日々を過ごす。ある時、軍律会議に出席したヨノイは、新たに捕虜となった英軍少佐セリアズ(ボウイ)と出会う。死を覚悟してなお誇りを失わない彼の姿に、ヨノイは不思議と魅せられる。ヨノイは、セリアズを捕虜長へ取り立てようとするが……。

(WOWOW解説より)
ローレンス・ヴァン・デル・ポストの小説「影の獄にて」を鬼才・大島渚監督が映画化したその代表作の1本であり、劇場公開も大ヒットを記録。
日本軍の捕虜収容所を舞台に、敵味方の男たちが織り成す感情の相克を描き出した傑作。
デヴィッド・ボウイ、トム・コンティら日米欧の俳優陣が顔をそろえたが、「ラストエンペラー」でアカデミー賞の作曲賞を獲得する坂本龍一、映画監督として世界のキタノとして知られるようになるビートたけし(ラストシーンの演技は有名に)など、後に映画界で花開く才能をいち早く起用した大島監督の先見性も光る。

原作は南アフリカ共和国の作家、ローレンス・ヴァン・デル・ポストの短編集『影の獄にて』収録の「影さす牢格子」(1954年)と「種子と蒔く者」(1963年)に基づいている。 作者自身のインドネシアのジャワ島での、日本軍捕虜収容所体験を描いたもの。(Wikipediaより)

出演者は男性のみ。
今、観ても主演俳優たちの名演、特にボウイ(セリアズ少佐)、ビートたけし(ハラ軍曹)、語り部役となるコンティ(ロレンス中佐)が印象的。
そして坂本龍一演じるヨノイ大尉がセリアズの魅力に惹きつけられ葛藤する姿も。
そして余りにも有名なテーマ曲。

西洋と東洋、キリスト教と仏教、神道。
価値観の違い、そしてそれらを拒否する者、受け入れる者、寛容と不寛容、そしてLGBTQも加味された人々の群像劇、人間ドラマ。
戦闘場面は無いが、戦争に勝利した側が裁き、負けた側が裁かれる戦争の無意味さ、不寛容さも。
ロレンスとハラ、敵味方を超えた友情とも感じられる2人の交流。
そして、セリアズからヨノイ、そしてロレンスに引き継がれる実のなる種。

いま、観てもそのメッセージ性は損なわれず、古さを感じさせない名作でした。




【忘備録】
(キャスト)
・ジャック・セリアズ陸軍少佐
- デヴィッド・ボウイ(青年期)/
- クリス・ブラウン(少年期)

・ヨノイ大尉(レバクセンバタ俘虜収容所所長)
- 坂本龍一

・ハラ・ゲンゴ軍曹
- ビートたけし

・ジョン・ロレンス陸軍中佐
- トム・コンティ

・ヒックスリー俘虜長
- ジャック・トンプソン

・拘禁所長
- 内田裕也

・イトウ憲兵中尉
- 三上寛

・カネモト朝鮮人軍属
- ジョニー大倉

・カール・デ・ヨン オランダ軍兵士
- アリステア・ブラウニング

・ウエキ伍長
- 飯島大介

・ヤジマ一等兵
- 本間優二

・ゴンドウ大尉
- 室田日出男

・軍律会議通訳
- 戸浦六宏

・フジムラ中佐(軍律会議審判長)
- 金田龍之介

・イワタ法務中尉(軍律会議審判官)
- 内藤剛志

・軍律会議検察官
- 石倉民雄

・俘虜収容所勤務の兵
- 三上博史、車邦秀

・セリアズの弟
- ジェイムズ・マルコム
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