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ディア・ハンターのkenのネタバレレビュー・内容・結末

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

明暗の落差えぐい、、、 とてつもない名作だとは思うんだけど後半重すぎて心沈んでしまった、、

前半は今を楽しむ男たちの輝かしいこと。スティーブンの結婚式前日のバーで酒を嗜みながらビリヤードをし、皆で"can't take my eys off you"を熱唱するシーン、結婚式パーティーでそれぞれ思う人達とダンスをするシーン、無邪気に鹿狩りするシーン。
特にクリストファーウォーケン演じるニックが眩しかった。帰ってきたら愛するリンダとの結婚が待っており、マイクに「なんとしても戦争から俺をここに連れ戻してくれ」と言ってたのに、、、

戦争が始まって、捕えられてからは目の背けたいシーンの連続。ロシアンルーレットは見てるだけでトラウマになる。悪趣味。
戦争が終わりかけても皆壊れてしまった。ニックはリンダを忘れて平然とロシアンルーレットで命をかけ、スティーブンは車椅子生活、リンダももうニックへの愛を保てない、マイクは"one shot"の重みから以前のように鹿狩りをもう楽しめない。今まで鹿狩りをゲーム感覚で楽しんでたのが、自分の命が鹿のように弄ばれたから。旧友がふざけて銃を向けるのも許せない。
バーでふけてた旧軍人の姿をみんな思い出したはず、、

ニックの生存を確信してサイゴンまで駆けつけて、自分の命を懸けてまで親友を連れて帰ろうとするマイクとニックのシーンは忘れられない。ニックの"one shot..."を思い出してから死ぬのはまだ幸せだったのかな、、、 
誰も悪くないし、誰のことも責めれない。 最初はリンダへの電話を辞めて賭博にふけるニックに疑問しか無かったんだけど、戦争ってそういうものなんだと思う。

ロシア系の移民だったから負い目からアメリカへの愛を示すために戦争に出たけど、ロシアンルーレットにうなされ、治療の時もロシア系移民な事で苦労しかけ、、 彼らのアイデンティティの揺れもこの映画のテーマなのかな。

ロバートデニーロの悩めるマイクのニュアンスよかった。
リンダ役のメリル・ストリープこんな美人だったんだ。プラダを着た悪魔の冷徹おばさんのイメージしかなかったから意外。
監督のマイケルチミノは次作で大コケして制作会社が潰れて数年干されたらしい、、
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