イチロヲ

ゴッド・アンド・モンスターのイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
同性愛とPTSDの交錯状態に陥っている元映画監督の老人が、新たに雇い入れた若い庭師に惹き付けられていく。「フランケンシュタインの怪物」を世に送り出した映画監督、ジェイムズ・ホエールの晩年期(1950年代中期)を題材に取っている、伝記映画。

ジェイムズ・ホエールと庭師の青年の交流を主軸にしながら、マイノリティの幸せ探しと、そこに付随する自虐性・悲劇性を綴っていく。ビル・コンドン監督、主演のイアン・マッケラン、どちらも真性ゲイであるところがキーポイント。

特殊な感受性と老化現象のダブルパンチにより、幸せ探しが泥沼化の一途を辿っていく。自身が生み出した「フランケンシュタインの怪物」に同調していく過程が示唆的に描かれており、生き甲斐の喪失感覚がホラーの領域に入っている。

「ハムナプトラ」でブレイクする直前のブレンダン・フレイザーが、元海兵隊の庭師役を熱演。逸脱した人生しか送ることができない孤独な老人との交流劇が、叙情的に繰り広げられる。庭師の肉体美を恍惚の表情で眺めるイアン・マッケランという構図が面白い。
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