イチロヲ

キンスキー、我が最愛の敵のイチロヲのレビュー・感想・評価

キンスキー、我が最愛の敵(1999年製作の映画)
4.0
不世出の俳優クラウス・キンスキーと彼の主演作を撮り続けたヴェルナー・ヘルツォーク監督の奇妙な人間関係を追っている、ドキュメンタリー映画。ヘルツォーク自身が過去作のロケ地を訪ね歩きながらキンスキーとの出来事を顧みていく構成になっている。

キンスキーは、典型的なジコチュー人間。自分の頭の中のルールが絶対的であり、「こうするんだ!」と決めたら、実際にその通りにしないと気が済まない。思い通りに行かない場合、たちまち怒りの感情を露わにする。

だがしかし、自身の長所と短所を演技の中に取り入れる能力に優れているため、ある条件下では天下一品の芝居を見せてくれる。その手綱を握っているのが、ヘルツォーク監督ということになる。

鑑賞を続けているうちに、キンスキーの変人ぶりを喜々として語るヘルツォークも相当な奇人変人だということが判明してくる。キンスキーのおかげで現場に混沌が生まれ、混沌から芸術作品が生まれるという、そんな見方をすることが可能。
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