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秋刀魚の味のMrSeepのレビュー・感想・評価

秋刀魚の味(1962年製作の映画)
4.5
この作品一つで、小津安二郎監督がどれだけ素晴らしく偉大か思い知った。
全てが調和して、映画として完成度が半端ない...

まず撮り方が素晴らしい。
固定カメラで低めのアングルによって、まるでそこに座ってのんびりと会話を聞いているかのような感覚で物語を楽しめる。
そこに軽妙な音楽やしっとりとした音楽を絶妙に合わせることで、男達がより能天気に見え、女性の「強さ」を顕著に現されてるように思える。

ありふれた日常の中を描くからこそ、台詞に重みが出る。深みが出る。
家族である温かみはこういうことだと気づかされる、そんな会話ばかりだった。

現代社会の孤独と寂しさを、既に捉え始めていた小津監督の視野に脱帽するし、米国の真似ばかりしていた社会への皮肉が洒落すぎてる。(負けて良かった、という台詞がまた粋ですな。)

軽妙洒脱とは、まさにこのことか。
そして秋刀魚の味が何だったのか。
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