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夢の涯てまでも ディレクターズカット 4K レストア版のMrSeepのレビュー・感想・評価

4.9
“Until the End of the World”
(Bis ans Ende der Welt)
僕らの旅路は終わらない、そして終わりがあれば始まりがある。

287分(ほぼ5時間)の長大作ロードムービー。
こんな最高の映画があったのか。
間違いなく人生における大事な映画になった。
全く5時間を感じさせない面白さ、まさに「Time is relativity」だった。

ヴィム・ヴェンダースだからこそできた、地球規模のロードムービー。壮大かつ大胆な仕掛けと展開が本当に凄い。
まずはヴェネツィア、パリ、ベルリン。
そしてロシア、中国、日本。(日本は結構長めだったので、小津愛だよね)
最後はシドニーにアボリジニの土地。
世界を旅するって、こんな感じなのかな。

SF要素はスパイス程度で、やはり本筋は出会いと別れ、そこからの人生の再出発。人間は強い生き物だ、というヴィムの“希望”が感じられる。
冒頭で紹介されていたが、この映画は1年かけて世界を回り、2000万ドルの制作費だという。それだけの規模だからこそ、この尺で一つも手を抜いているところがない。

映像美はもちろん、音楽も流石ヴィム監督。
「Days」を演奏するシーンは、今までの映画で一番綺麗なワンシーンだった。
“Thank you for the days”、新たな出発にはぴったりな言葉。
記憶の再現映像の演出が、印象派の現代アートのようなでとてもエモーショナル。唯一無二感が半端ない。
これはディレクターズ・カット版で見るべき!

そしてリュディガー・フォーグラーとキャンピングカーは「さすらい」ファンなら最高の組み合わせ。続きか?と思えるくらい良いかった。笑
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