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オッペンハイマーのMrSeepのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.9
”Now I am become Death, the Destroyer of Worlds.”
「我は死神なり、世界の破壊者なり」

IMAXの画角で非常に広々とした完成しすぎている映像美は、さすがノーラン監督。史実に基づいた本作は今までのノーラン映画とはまた違った良さがあって、監督としてさらに幅を広げたんじゃないかと思う。

「オッペンハイマー」とは何者か?
原爆の父と呼ばれている彼は悪魔だったのか?
それとも、その成功で神となったのだろうか。
“American Prometheus: The Triumph and Tragedy of J. Robert Oppenheimer”
という原作のとおり、その人生は勝利と悲劇の連続だったのか。(題目のアメリカンプロメテウスもキーワードかもしれない)

科学者と、全ての科学への尊敬がこの映画から感じた。
オッペンハイマーの功績は相当大きい。原爆のネガティブ面は言うまでもないが、ポジティブ面として、量子世界の多大なる発見である。科学の発展と戦争の相互関係は、切っても切れない関係か...
この映画をどう見るかは、ある意味、戦争に対する教養の有無かもしれない。
個人的には物理学の要素をもう少し加えてサイエンス味を出してほしかった。

“The world remembers this time.”
物ごとの捉え方は、本当に主観でしか無いんだと思わされる。オッピーの熱狂のシーンは、この物語で大きな意味を持っていると思う。おそらく、観客の異常な熱気で映画の技法を知り尽くしたノーラン監督だからこそのシーンでもあり素晴らしい。

「我々は数学を軽視しすぎた」
このセリフと、その邦訳がとても素敵だったな。
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