Wakana

秋刀魚の味のWakanaのレビュー・感想・評価

秋刀魚の味(1962年製作の映画)
4.3
娘の結婚と老後の孤独。遺作ということだけあって老後の孤独の問題の方にフォーカスしがち。
意外に思うのが再婚を機に付き合いが悪くなった友人に笠智衆パパたちがぼやくところ。これまでの作品でも、お嫁に行った友達が約束をすっぽかしてがっかりみたいな、友情と結婚の微妙な関係を描いていたのだけど、おじさん同士でもやるなんて。確かに今作では、夫婦で一緒に働いて、一緒に台所へ立って、一緒に家のことをこなしている、より現代的なジェンダー観があった。60年代という時代の影響なのかな。寝てる夫のこと躊躇なく跨いでたしな〜
いずれにしても、小津監督には娘の結婚に何か特別な思いがあったらしいことは変わりない。娘が嫁いで家は少し静かになったけど、「おれが飯を炊いてやる」なんて心優しい息子が残ってる。それなのに娘を失い(果たして本当に失ったのか?)「持つんならやっぱり男の子だね。女の子はつまらんよ。せっかく育てると嫁に遣るんだから」と言う笠智衆パパの瞳は物悲しい。
Wakana

Wakana