風来坊

アジョシの風来坊のレビュー・感想・評価

アジョシ(2010年製作の映画)
4.0
町の片隅で質屋を営むテシクは辛い過去を背負い孤独な生活をしていた。
しかし、同じアパートに住む少女ソミに危険が及んだ事からテシクは再び暗黒の世界へと足を踏み入れる。

内容はR15指定でもあるとおり、残酷な暴力描写があり、さらに子供達を麻薬密売人にしたてあげるなどかなりハードな内容になっています。
北方謙三さんののハードボイルド小説にありそうな設定。
少女と心を通わせて、その少女のために組織と戦う雰囲気は「レオン」に通じる所もあります。

ちょっと前置き長いかと思いましたが、悲壮感あふれる世界観に徐々に画面に引き込まれていきました。
話の内容も痛々しいですが、暴力描写も北野武監督の映画にあるようなリアルな痛さを感じる描写なのでバイオレンス物が苦手な方はちょっと辛いかも知れません。

後半にある組織の殺し屋とテシクのナイフでの戦いはなかなかの迫力で見ごたえありました。
これ以外のアクションシーンも見ごたえ十分です。
主演のウォンビンさん。前半は長い髪で後半は短髪にするんですが、長い髪の方が貫禄があって良いと思いますね。短髪だとベイビーフェイスが際立ちます。

それにしても、テシクを追う刑事の部下の俳優の個性は凄い。
あの飛び蹴りシーンはツボに入りました(笑)
韓国映画でありがちなヤクザのような刑事でお話を盛り上げていました。
酷過ぎる母親とか…あまり救いの無いお話しですが、ハードボイルドバイオレンスとしてはかなり良い出来だと思います。

ラストは少し涙腺が緩みました。
しかしながら、全体的に暗いお話しですし、映像も暗いので観る人によって評価は別れるのかなと思います。
風来坊

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