このレビューはネタバレを含みます
テシクとソミの眼が、なにより綺麗で印象的でした。たくさん映してくれてありがとうございます…そしてとても悲しい作品。
ソミを助けるために、血の筋を何本も走らせ修羅の顔へと変化するのも、右目の下から流れる血が涙のように見えるのも、顔が思い出せないと言っていたテシクにとって思い出すのが去っていくソミの後ろ姿だけだというのも、ラストシーンが温もりのあるものだとはいえ、何もかもに胸が苦しくなりました。
大袈裟に顔をしかめることも、ほとんど笑顔を見せることもないテシクでしたが、それでも眼差しや沈黙から感情が常にあふれていて印象的でした。
テシクを見送るソミが、一人で生きていくことに対して「大丈夫じゃない」と言えないことが、観終わった今でも一番悲しいです。