るか

波止場のるかのレビュー・感想・評価

波止場(1954年製作の映画)
4.1
スコセッシの原点と言われるだけあって彼の映画のエッセンスが全て詰まっている。
時代的にも全体的に淡白で話のテンポも悪くない。時に淡々と行き過ぎるくらい。
神父が演説するシーケンスは震えた。凄いな全く。全体の構図として支配階級と労働者階級を上下に空間的に配置することで、既得権益の固さを映像的に表現していた。
エンディングもアツい。ほぼ「立つんだジョー!」と同じ。その先に勝ち取った自由と最後に倉庫の外に置いてかれたボスの雰囲気もあえて上から撮ることで際立っていた。70年前の撮影技法に脱帽。今はなんでも手軽に出来てしまうが故にこういった造り手の工夫って見えづらくなってしまっている気がする。
今の日本社会に見せてやりたいね。キックバックを受けてなにも起こらない今でさえ通づるものがある不朽の名作だろう。
るか

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