佐藤でした

エディット・ピアフ愛の讃歌の佐藤でしたのレビュー・感想・評価

3.6
エディット・ピアフの唯一無二の歌声は耳にしたことがあるし、『愛の讃歌』はわたしの大好きな歌い手である奇妙礼太郎さんがよく歌う曲で、気にはなっていた今作。

パッケージに映っている女性がヘレナ・ボナム=カーターじゃなくて、マリオン・コティヤールだと知って借りてみた。

でも健康的な美しさが眩しいあのマリオンはどこにもいない。ガリガリで猫背、目はギョロギョロ。46歳で亡くなる晩年、20歳は老けて見えたというエディット・ピアフを、マリオンは見事に演じ切った。

祖母が経営する娼館で暮らし、童話のひとつもまともに読むことができなかった幼少期。路上で歌い日銭を稼ぐ10代、親の愛情など知らぬまま歌の世界でチヤホヤされるようになった。“愛される土台”がない彼女は、愛されれば愛されるほど堕ちていく。酒と薬物に溺れ、目を離せばすぐに“ゴミ溜め”に逆戻りした。

『あなたの燃える手で あたしを抱きしめて
ただふたりだけで 生きていたいの‥』

力強く歌われる、愛の言葉で溢れたこの曲に、あんなにも壮絶な人生があったとは。
佐藤でした

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