一見、老いの一徹。そこには信念として戦争というシステムの酷さ。理不尽さ、悲惨さに対する想いが凝縮されている。
自らは戦争が終わったにも関わらず澄田らい四郎中将の命により、中国に留まり国民軍と共に共産党と闘う。9年経って帰国してみれば、あなた方は自分の意志で残ったのだから軍人ではない。だから補償には当たらないとされた。
日本としてはポツダム宣言を受理後に武装解除してしないことになるので、国家としてその事実は認められないのだ。そして最高裁まで上告するも棄却。
タイトル通り、いかに一市民が兵隊となると蟻のように働かされるのかが伝わる。ひとを殺す事も教育され、それが平気になる。鬼となる。それは個人の犯罪なのか?
ちなみに澄田中将の長男はあの日銀総裁を務めた澄田智。そう景気引き締めを見誤りバブル経済を作った張本人だ。そして因果は巡る。彼も父と同様にその責任は一切取らず、言及もせずこの世を去った。保身と高すぎるプライド、そして恥知らずは確実に遺伝するのだ。彼らにとって所詮国民は蟻の兵隊に過ぎない。