さすらいの用心棒

満員電車のさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

満員電車(1957年製作の映画)
3.6
一流大学を卒業して一流企業に就職した若者を通じて現代社会の「狂気」を風刺した市川崑のコメディ。

市川崑、和田夏十によるオリジナル脚本。
頭もいい。しっかりした指針もやる気も充分なのに、あまりにも不合理な社会構造のために周りの連中は発狂や自殺に追い込まれ、やがてストレスで身体が変調を来たし、仕事をクビになり、一流大学に就職したばっかりに仕事にありつけない、という地獄のような社会を軽々とシュールに描く。市川崑なりの『モダンタイムス』である。
ただ、テーマやメッセージ性で書かれたストーリーではないために、ただドタバタしているようにしか見えないのが残念。
市川崑の座右の銘「ホップ、ステップ、ジャンプ」を高らかに叫びながら三段跳びした男がバスに轢かれて死ぬというのには笑った。