満員電車の作品情報・感想・評価・動画配信

「満員電車」に投稿された感想・評価

深緑

深緑の感想・評価

3.8
名門大卒の主人公の社会進出を通して描かれる社会風刺作品。

「サラリーマン生活の悲哀」・「管理社会の息苦しさ」・「レールから外れた者の生き辛さ」といった、現代でもバリバリ一線級で通用するテーマが取り上げられています。

全編に渡ってデフォルメが効いていて、コミカルなノリが貫かれてますが「かえってそれが怖いんだよ」といった効果が図らずも?出ています。

あと、「目下の者や恋人に対してもデフォルト敬語」といった所に凄く新鮮味を感じてしまいました。
笑えるけど笑えないテンポのよい社会風刺劇映画。
良い大学を出ても薄給しか稼げず仕事も1日の量が決まった単純作業、結婚も出来ずというむなしいサラリーマンをアイドル女優野添ひとみを奥さんにもつ人気俳優の川口浩が演じるという構図がもう皮肉なのではないか。「まぼろしの市街戦」みたいに誰が狂ってて誰が狂ってないのか分かりゃしない。また豪雨の中の野外卒業式の惨憺たること。全員同じ形の黒い傘を持って校門から排出されるところや精神病院のくだりなど映画的演出がおもしろかった。60年ごときでは何も変わらないのかな。こんな時代もあったねと笑えないのが笑える。
でも転職はわりとし易くなったんじゃないかな〜
MNRTJM

MNRTJMの感想・評価

3.7
通勤電車のみならず工場もデパートも精神病院も職安も卒業式も満員。無機質な独身寮の描写や理不尽な仕事内容など『未来世紀ブラジル』を彷彿とさせる(気のせい)。ノスタルジーを寄せつけない近未来デストピア感(60年も昔なのに!)が強烈。
平たく言えば「人は何のために生きるのか?」ということ。
映画に関する評価とは別に、鑑賞中に考えていたことはつまり、そういうことだ。

本人は至って真面目に、そして彼なりのリアリズムを持って現実をサバイブしていくための処世術として諦念を持ちながら、滲み出る人間性によって次第に精神を病んでいく、というよりは今時の言葉で言うところの「闇落ち」していく川口浩。

狂っているのは父か、母か、自分か。
不安定な描写や、まるで「機械じかけ」の工場での労働、社員寮。
登場する人物は悉く心を病んでいく。
何より全ての人物たちに覇気がまったくない。

タイトルにある「満員電車」はほぼワンシーンくらいしか出てこない。
しかし、あらゆる場所がすし詰め状態。
世界そのものが満員電車に揺られているようだ。

というように、ここまで書き述べた要素をとにかくスピード感のある会話劇として、川口浩の虚無感や、笠智衆、杉村春子の演技バランス、といった演技面。

そして洋画的な画面構成とカット割り。編集のテンポ感と、まさに映像表現と演劇的バランスをマッチングさせた「まさに映画」でしか表現できない世界観。

それはつまりシュールで、リアルな悪夢ということ。
調子の悪いときのウディ・アレン映画を観ているかのよう。もちろんところどころは笑えるのだけども(特にパッケージにもなっているキスシーンと笠智衆の精神病院での演技は爆笑)、テンションが一本調子なので次第にどうでも良くなってくる。とにかく川口浩がうざい。しかしまあ今の目線でこうばっさり斬るのはフェアじゃないというか、高度に発展したメディア社会ではこの映画に出てくる小ネタみたいなものはそこら中に氾濫していて陳腐になってしまっているが、この映画が公開された1957年はテレビの普及率も10%を切っているし、翌年の58年が日本での映画の観客動員が一番多かった年であるので映画は最も大衆的なメディアのひとつだった時代だったのだろう。そういう時代にこういう映画をつくる意義やウケた理由もわかるのでそう無下にはできない気もする。まあ寄る年波には勝てなかったというか。
MITATI

MITATIの感想・評価

4.8
普通に面白かったが、やはり今も昔もさほど変わりゃしないものだねぇ。社会ってのは嫌だねぇ。モノクロ映画普通に見れるようになってきたわ。
chacole

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3.6
60年も前の作品で、高度経済成長期、バブル時期などに観ていたら、まるで他所ごとという感想になったかもしれませんが、平成最後の年に観て、リストラ、ストレスやメンタルの病、高学歴ワーキングプア、第二新卒の就職活動からの起業など、現代も問題となっていることが描かれているのがちょっと驚きでした。
一流大学を卒業して一流企業に就職した若者を通じて現代社会の「狂気」を風刺した市川崑のコメディ。

市川崑、和田夏十によるオリジナル脚本。
頭もいい。しっかりした指針もやる気も充分なのに、あまりにも不合理な社会構造のために周りの連中は発狂や自殺に追い込まれ、やがてストレスで身体が変調を来たし、仕事をクビになり、一流大学に就職したばっかりに仕事にありつけない、という地獄のような社会を軽々とシュールに描く。市川崑なりの『モダンタイムス』である。
ただ、テーマやメッセージ性で書かれたストーリーではないために、ただドタバタしているようにしか見えないのが残念。
市川崑の座右の銘「ホップ、ステップ、ジャンプ」を高らかに叫びながら三段跳びした男がバスに轢かれて死ぬというのには笑った。
あな

あなの感想・評価

3.0
この時代の作品は、喋り方の問題で少々聞き取りずらいことも多いが、今作はみなハッキリ・強く喋っていたので、とても聞き取りやすかった。
この作品では、昭和中盤ぐらいの社会を描いていて、主人公は有名大学出の青年だ。真面目で、勤勉で、頭もいい。そんな主人公が、大学を卒業して、大手の飲料水会社に入社…という流れから、この作品が始まる。この作品は、そこから主人公が働き初め、色々あって社会から見放されるまでの話なのだが、どうにも不条理にストーリーが展開していく。この作品でも言及があるが、社会というのはおかしくて、矛盾しているものだと感じさせられた。主人公は、何に対しても真剣に向き合っているのに、それがいずれも功をなさない。正にブラックだ。そんな昭和の社会のしくみに対し、今作は面白おかしく描いており、主人公の処遇や不器用なまでの真っ直ぐさに、クスッさせられるが、終盤になってくると、マジに心が傷んだ。彼のあの後のことは考えたくないが、この作品で描かれている社会の風潮が、少からず事実であったのであれば、今のこの社会のシステムは、とてもいい仕組みの下にあるのだと、感謝せざるを得ないと思う。
まぁ描かれていることは、結構キツイけど、コミカルに演出されているので、そんなにダメージを受けず、逆にクスクス笑いながら観賞することができた。
市川崑監督サイコー!
suu

suuの感想・評価

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全編白黒。
どたばたしてて、コメディチック。
面白かったです。
本当にところどころが風刺。
サラリーマンて、つらいよね。
ビール工場のビールが規則的に流れていく映像とか、
まさに「サラリーマンの行動」と隠喩されてた。
そして主人公は現実を悟り生きていこうとしているのに、全然違う方向に流れていっちゃって。
人生何があるかわかりません。