ざき

ペパーミント・キャンディーのざきのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

冒頭と逆行する列車から、これは彼の走馬灯であることがわかる。あの頃の韓国を背景にして、物語は過去へと進んでいく。合わせて映像(フィルム)もなんとなく古くなっていくような。その映像のカメラワークもまた、そこはかとないこだわりを感じられる。

想い出の歌、引きずる足、カメラ・・・流れる川がいずれ海へとたどり着くように、出来事は綺麗に一つの物語へと収束していく。果たして私は正しかったのか、間違っていたのか。ただ一つわかることは、このくそったれな世界で純粋なものはペパーミント・キャンディーと、それを与えてくれた彼女だけ。そのキャンディーの白さだけは信じられた。

燃え殻の小説「ボクたちはみんな大人になれなかった」に通ずる、誰しもが体験する人生の味がここにはある。その味は多分、時にキャンディのように甘くて、でもペパーミントのように、ちょっぴり苦い。
ざき

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