イチロヲ

ソイレント・グリーンのイチロヲのレビュー・感想・評価

ソイレント・グリーン(1973年製作の映画)
3.5
人工食糧開発者の暗殺事件を担当する捜査官が、事業の裏側に潜んでいる秘密に肉薄していく。人口過密問題に喘いでいる近未来のニューヨークを舞台に、食糧難をめぐる腹の探り合いを描いている、ディストピア・ムービー。

タイトルのソイレント・グリーンとは、人間に必要な栄養素が含まれている人工食品のこと。鑑賞者に向けて犯人が明示されるパターンだが、犯行に至るまでの過程を伏せているため、謎解き要素が働いている。

何よりも、主人公の捜査官が、欲望に忠実なキャラ付けになっているところが面白い。捜査中に食糧を見つけると、ポケットにしまい込む。現役のエアコンを見つけると、強設定で稼働させる。湯が出るシャワーを見つけると、商売女と一緒に浴びまくる。

失われた幸福感を主人公と一緒に再確認しているような感覚に浸ることが可能であり、食糧供給の大切さ、食べ残しの危機管理を考えさせられる。まさに「後に引きずる系」のカルト作品。
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