イルーナ

ウォレスとグルミット/チーズ・ホリデーのイルーナのレビュー・感想・評価

3.5
記念すべき『ウォレスとグルミット』シリーズの1作目。
それゆえに、後のシリーズ作と比べるとだいぶ異色な作風です。
しかし「美術学校の卒業制作」として手がけて、完成まで6年も費やしただけあって、この頃からクオリティは折り紙付き。

後のシリーズの代名詞である「とてもクレイアニメと思えないほど高クオリティなサスペンス、アクションシーン」はないですが、細かいディティールにこだわった内装はとてもお洒落ですし、「月は大好物のチーズでできているから、それを食べに訪れる」「日曜大工で月まで往復できるロケットを作る」というぶっ飛んだ発想、月のロボットに「小銭巻き上げ機」という邦訳。
それに、ロケット打ち上げを見守るネズミの群れ(一斉にサングラスをかけるのがかわいい!)や、スキーに憧れる小銭巻き上げ機。後の作品とはまた違う、ほんわかとしたムードが楽しいです。

しかし『ペンギンに気をつけろ!』や『危機一髪』などのように派手な見せ場があるわけでないから、それらの作品を先に観ていた場合、少し地味に感じてしまうかも。実際私も、本作まではこのシリーズのことを「ちょっと変わった日常系」という風にとらえていました。

派手さはないけど観てるとチーズとクラッカーを食べたくなるような愛すべき小品、といった感じでしょうか。
イルーナ

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