平凡にして偉大なすべての父と母に捧ぐ美しい物語。
描かれるのは障害を持つ息子と余命間近な父親の数ヶ月。
非常に重いテーマなのだけど、水族館と、海の中を中心とした映像と音楽はエンディングまで全て例えようのないくらい美しくて、
登場人々の優しさが溢れ出て、涙腺がおかしくなってしまうのかと思うくらい泣いた。
ところどころジブリっぽさが漂うと思ったら音楽は久石譲さんで、映像は香港おしゃれ映画に欠かせないクリストファー・ドイルによる撮影、そりゃ極上に仕上がるわけだ・・・
ここまで、悪い人たちが出てこないのはファンタジーだと言われてしまうかもしれないけれど、この美しい作品には人間の汚れた心など一雫も入れて欲しくない。
だって観ている間自分の魂までもがどんどん浄化されているような感覚に陥る、そんな作品だったから。
自閉症と知的障害を持つ大福を惜しみない愛情で育てる父親をジェット・リーが演じ、アクションを一切封印した眼鏡姿のおじさま役も驚くほどしっくりハマって、ウェン・ジャンの天使のような存在感がストーリーを清らかにして、グイ・ルンメイの透明感がときめきを与えて、極上の愛の物語に仕上がっている。
いつまでも、いつまでも心の片隅に置いてまたいつかやさぐれた時に観たくなるだろうな。