トシオ88

意志の勝利のトシオ88のレビュー・感想・評価

意志の勝利(1935年製作の映画)
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〈押入れ秘宝③〉1934年9月、ドイツ、ニュルンベルクで行われたナチ党全国党大会の模様を描いた国策プロパガンダ映画。

「民族の祭典」の監督レニ・リーフェンシュタールによる映像は、様々に技巧が凝らされており、彼女でなければ描かれないであろう様式美のスタイルがあちこちに展開される作品。
雲上から専用機でニュルンベルクに降り立つヒトラー達、幾万の老若男女が熱狂して迎える街の沿道、そしてファナティックな演説と整然と動く画面を埋め尽くす兵士…。
メディアが限られていた時代にこうした映像を絶え間なく刷り込まれる全体主義の恐ろしさ。

この映像の僅か11年後に、連合軍の爆撃と地上戦で殆ど瓦礫と化した同じ街で、戦争犯罪の国際会議が開催され、幾多の絞首刑が執行されるなど、熱狂の渦にある群衆の誰もが予想ができない事を思うと、暗然とした気持ちになる。
映画ではあるがスコアはつけない。
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