あまりにも点数がつけにくいこの映画は、南北戦争と南部再興を史実に基づいて語るかのように見せながら、徐々にKKKを英雄に、解放奴隷を悪人に仕立てあげ、KKKの黒人討伐の〈功績〉のために今ひとたび“The Birth of a Nation”が果たされたと声高に主張する。
KKKが無力な白人男性に替わって、乱暴で貪欲な黒人たちから白人女性を守るといった大義名分が随所にあって、正しくて信頼できる知識がなければ（あっても）、その思想の圧倒的なパワーに押しつぶされそう。解説によると「映画で思想を表現する」最初のアメリカ映画らしく、映画史のことはあまりに無知なのでさておき、この映画がアメリカにもたらした社会的な役割については恐ろしくも興味深く考える。
映画にせよ小説にせよ、誰かに作られたすべてのメディアが人にもたらす〈作られた〉思想と、それが元から自分にあったと思い込んでしまう恐ろしさ。
名前は知っていたけどいかんせん長い映画なので、なかなか見るきっかけがなかったのだけど、昨日の一連の出来事に後押しされてようやく見れた。でも鑑賞後、昨日と同じもやもやが残って居心地が悪い不思議なきぶん。
