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美しすぎる母のchakoのレビュー・感想・評価

美しすぎる母(2007年製作の映画)
3.5
プラスチックの発明で有名なベークランド家の悲劇を描いた作品。

正直に言ってこの作品に登場する誰もが狂っていて、誰一人として感情移入は出来ない。歪んだ愛情が悲劇の結末を生んでしまうわけだけど、悲劇の結末よりも何より衝撃なのはこれが実話だということ。

バーバラは純粋に息子を愛する母親だった。でも元々愛に飢えた人なのか、離れてしまった夫との空隙を埋めるために息子を溺愛し、夫はますます離れていき、過剰すぎる母の愛と自分を拒む父との間で息子は狂っていってしまう。
そして、悲劇の結末へと導かれていく。

なぜこんな事になってしまったのか
何が彼をそうさせたのか・・・

心のSOSを出し続けるも誰にも気付いてもらえず、彼にはああする事でしか母の呪縛から逃げられなかった。 母が自分を愛するのと同じように母を愛していたけれど、それと同じくらいに母を憎んでいたのかもしれない。
誰か一人でも彼の助けを求める声に気付いてあげられる人がいたら、結末は変わってただろうに・・・と思うと、どうにもやりきれない気持ちでいっぱいになる。

植物は水を与えすぎても、与えなさすぎても育たないけれど、人間の愛情もそれと同じ。
程よい具合が分かればいいのに・・・
愛情って単純なようで難しい。

結局誰一人として共感も理解もし難いし、虚しさだけが残ってしまうような後味の悪い内容だけれど、ジュリアン・ムーアとエディ・レッドメインの演技は素晴らしい。
ジュリアン・ムーアはこういう満たされない女や愛に翻弄される女がよく似合う。タイトルの通りに美しく、上流社会に生きる彼女の洗練されたファッションも素敵。でも私はそれ以上に狂気を感じて、彼女の歩くヒールの音が聴こえてくるだけでゾッとして背筋が凍るようだった。

そんな母に翻弄される繊細な息子を演じたエディも見事で、いつも何かに怯えたような目が印象的。
で、また透き通るように白い肌とそばかす顔のこの二人が本当の親子のよう。ジュリアンは劇中ではおぞましい母親だけど、エディにとっては憧れの女優であり、この共演から数年後の昨年アカデミー賞で共に受賞し、再会した二人もとっても可愛らしかった!!


そして、本日1/6 はエディのお誕生日!!

♪・゚:*:゚ Happy 34th Birthday Eddie!・゚:*:゚♪

イケメン俳優に目がなく気の多い私でも、エディのことはドラマ「エリザベス1世」の頃から大好きでずっと応援している俳優さん。 
エディの代表作なら「博士と彼女のセオリー」や「レ・ミゼラブル」辺りだけど、私個人的にはそれらの作品に続き、この作品での演技も輝いていると思うので1/6のこの日にレビューをあげてみました。ただし、内容的にはどうにも人に絶賛して勧められる内容ではないのですが…若かりし頃のエディ(と言っても今も十分若い)を観たい方にはおすすめです♪
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