こまち

赤ひげのこまちのレビュー・感想・評価

赤ひげ(1965年製作の映画)
5.0
人情味溢れる素晴らしい映画だ。何度も目頭が熱くなった。何度も見直したい。
座敷牢に囚われた狂女、六助の荘厳な死、佐八とおなかの悲恋など...赤ひげの「病気の影には、いつも人間の恐ろしい不幸が隠されている」という言葉通り、主人公・登は診療を通して様々な人生を目撃する。その一つ一つが、堪え難い不幸に懸命に堪え生きてきた人々の生の証であり、胸を打つ。
演出も非常に効果的だった。六助の臨終の場面では、光と影のコントラストと音楽があいまって、苦難を堪え忍んできた六助の人生の荘厳さを印象づけた。また、佐八の臨終シーンでも、死の床で懸命に手を伸ばす佐八の腕の影が強調され、そこに佐八の最愛の人・おなかを見るような思いがした。二人の悲恋の切なさを象徴するような風鈴の使い方にもグッときた。

そして、三船敏郎である。なんてかっこいいんだ。文句なしにかっこいい。モノクロの画面越しに伝わってくるあの威厳と風格よ。これは間違いなく覇王色の覇気の遣い手や...!!!
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