けまろう

近松物語のけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

近松物語(1954年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

『近松物語』観賞。女主人おさんと雇われ職人茂兵衛の駆け落ち物語。不貞ものの凄惨な処刑シーンの提示により悲恋の結末を暗示させつつ、大経師の強引さと執念が二人を追い詰める。最後生きることを諦め入水自殺を決意した二人が、最期だからとお互いの慕情を吐露するシーンが白眉。霧立ち込める琵琶湖の上をスーッと進む小舟の幻想的なことと言ったら!追い詰められてどんどん厭世的になっていく二人がここで初めて生への執着を見せる。愛が故に生きようとするのである。最後、どうにも逃げられなくなった二人は別々に生きるという選択肢がありながらも、不義密通の罪で共に命を絶つことを決めるのだが、それは愛が故に死のうとする決意であった。処刑される二人の顔が晴れやかだという台詞で物語は幕を閉じるものの、そこまで晴れやかな顔ではなかったのが致命的に気になってしまった。クロースアップしてもう少し表情見せて欲しいと思うのは素人だから?溝口スタイルはこれで良いのだろうか。
翌日再鑑賞した『雨月物語』の方は完璧すぎた。
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