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白い巨塔のFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

白い巨塔(1966年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます


扉が開き、田宮二郎演じる財前が手術室に入ってきて、位置に着き「はじめます」というセリフとともに幕を開ける冒頭を見てからドラマや舞台、映画の内幕ものの比喩として本作を見始めた。教授のポストを巡る政治と投票はドラマや映画といったキャスティングの政治として翻訳可能。「蓋を開けてみるまで分からない」とは選挙や裁判の内容と人体の病状とシンクロし、その自己言及的な要素を高めていたように思う。一人が入ってきて一人が出ていく。

シネマスコープという横長の画面にふさわしい左右に配置された顔や横にスクロールするカメラワーク、奥行きを強調しつつ、人物の対比として置かれた銅像や女性の顔も効果的で人物達の状況を描写する。ズームは室内劇を盛り上げるためとはいえ少し多すぎると感じる。

東京オリンピックを境に軸足がテレビに映っていき、影が色濃くなっていく時期と思うと切ない。テレビとの差別化を図ったであろう画面サイズと150分もかける大作志向は、映画/ドラマの境界線が曖昧な現代ではなかなか見ることが出来ない。伝統から切り離されてしまう直前の骨太作品。
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