ニャーすけ

英国式庭園殺人事件のニャーすけのレビュー・感想・評価

英国式庭園殺人事件(1982年製作の映画)
3.3
「ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師」より2本目。

画家が描く絵画の中に殺人事件の痕跡(のようなもの)が紛れ込むというミステリーの設定が独創的でとても面白く、強く引き込まれた。そこにグリーナウェイらしいエスタブリッシュメントへのシニカルな視線が合わさって、実にイギリス的な富と権力を巡る血生臭い階級社会のドラマになっている。

正直に白状すると、鑑賞直後は劇中に散りばめられた重要なメタファーの数々を咀嚼しきれず、安易にネタバレ解説サイトを見てしまいました。
自分で努力せずにすぐ人様の知見に頼るのは良くないなぁと思いつつ、本作の舞台が1694年であることやペルセポネーの神話の引用の意図を理解すると、作品の解像度がぐっと上がった。そして、ヨルゴス・ランティモスの『女王陛下のお気に入り』と本作との関係性の深さには「はぁ〜!」と感服してしまった。
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