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姉妹と水兵のodyssのレビュー・感想・評価

姉妹と水兵(1944年製作の映画)
4.0
【お金持ちが貧乏姉妹の夢を叶えてくれる――古きよき時代のストーリー】

1944年のアメリカ映画、モノクロ・スタンダード。

パッツィ(ジューン・アリソン)とジーン(グロリア・デ・ヘイブン)の姉妹はNYのクラブで歌手として人気を博していた。妹には最近、高価な花が何度も匿名で贈られてくる。お金持ちからのプレゼントに違いない、もしかしたら理想的な結婚相手からかもと夢見る妹に、(両親がいないので)保護者として振る舞ってきた姉は、金持ちでも愛人探しの老人かもと警戒心を抱く。しかし、やがて姉妹には、古い倉庫がやはり匿名でプレゼントされる。姉妹はその倉庫を買い取って演奏会場に改築するのを夢見ていたのだ。そして・・・

魅力的な美人姉妹歌手の夢を、お金持ちの匿名男性がかなえる、というストーリー。
まさに夢物語として作られているけれど、現実離れした映画だと思って見れば十分に楽しめるし、姉妹の歌や、トランペッターの見事な演奏ぶり、またかつては人気コメディアンだったものの今は落ちぶれて姉妹にマネージャーとして雇われる初老の男の健闘ぶりなど、様々な人物が配されているから、娯楽作品として極上の出来上がりと言える。

 この映画には(タイトルからも分かるように)アメリカ海軍の兵隊が登場するが、それだけでなく、陸軍と海兵隊の兵隊も登場する。1944年という制作年からも分かるが、もとは米兵の慰問用に作られたのだそうだ。最後のあたりの筋書き展開はかなりご都合主義的ではあるが、楽しめるミュージカルとして悪くない出来だと言えるだろう。
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