うかりシネマ

七人の侍のうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

七人の侍(1954年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

野武士の襲撃に怯える農民が、野武士を倒すべく侍を雇うことを計画する。強く、そして聡い侍・勘兵衛は、野武士を殲滅するために七人の侍が必要だと言い、残る侍たちを集める。

侍と野武士の戦いはチャンバラではなく「戦」で、一対一の戦いではなく村全体を使った防衛戦が主。個の強さも描かれるが、勘兵衛の計画とそのための準備の批准に重きが置かれているのがリアルで面白い。
敵も味方も死ぬときは一瞬で無常。

本作ではさまざまな角度から「弱さ」が描かれる。
野武士に敵わない農民たちだが、雇った侍に決して本心は見せることなく、強かに交渉する。
一人娘を想う父親は、裏返しに厳しく躾けてしまうが、娘はそれを上回る。野武士に慰みものにされた妻は、取り返しにきた夫に出会って辱めを強く感じてしまう。
ただ強いだけの侍よりも弱くとも人の心を開く者を重用するが、弱くては殺されてしまう。
もう一人の主人公・菊千代は、弱さゆえに身分を偽る。認められたいために功を焦り、嗜められる。強がりながらも誰よりも人の心の分かる菊千代が、孤児となった赤ん坊を抱いて「こいつは俺だ」と叫ぶシーンは真に迫っている。

侍集めと集落での暮らしで一時間ずつ使う構成で、勘兵衛と菊千代以外のキャラも魅力的に描かれる。
三時間超で丁寧に物語るが、緩急のついたストーリーで飽きさせない。
およそ半分の時点で休憩が挟まる二部構成となっている。後半は百姓の稲刈りから始まって田植えで終わり、この物語が“日常”であることが強調される。