さく

七人の侍のさくのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
4.5
黒澤明監督代表作

小さな百姓の村が野武士達に目をつけられてしまい、嘆き悲しんだ百姓は藁にもすがる思いで村を守ってくれる侍を探しに行った。そこで出会った個性豊かな7人の侍が戦略を練り、多勢に無勢で野武士達との戦に挑むという物語。

この映画の中で特に印象深かったのは、百姓の描き方です。物語の中で、三船敏郎演じる菊千代の「いったい、百姓を何だと思ってたんだ?仏様とでも思ってたか、ああ?」というセリフがあります。侍たちが守るはずだった百姓が、過去には落武者狩りをし高価な鎧や武器をせしめており、さらに貧乏貧乏だと言う割に床下には大量のお酒やお米が隠されてあったり。極端な正義と悪ではなく、守られる弱者に内するリアルなズルさ狡猾さが描かれていたと思います。周りに流される、侍の言うことを聞かずに自分一人で勝手な行動に出る、自己中心的な考えなど、大衆心理というものも鮮明に描かれており、それもまたこの映画のリアルさに拍車をかけていました。

もう一つ印象深かった点として、少数対多数の戦略が挙げられます。こちらから奇襲を仕掛けたり、あえて一騎の武士を通し囲い込んで袋叩きにする、かかしを使って潜んでいる武士を炙り出したりなど。多くの戦争に通ずるであろう戦法を多用していてとても興味深かったです。

3時間20分もある映画でしたが、飽きずに最後まで観ることができました。とても面白い映画です!
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