しゆ

ベスト・キッドのしゆのレビュー・感想・評価

ベスト・キッド(2010年製作の映画)
4.1
初めて観る中国映画。『ベスト・キッド』といえばジャッキーチェン、ジャッキーチェンといえば『ベスト・キッド』みたいなイメージをたぶん自分と日本人の90%ぐらいが持ってると思うけど84年のリメイク作なのは知らなかった。主人公ドレはあのウィル・スミスの息子。
普通に面白い。内容は単純明快で、いじめられっ子がカンフーの凄腕管理人に鍛えてもらって大会の決勝でいじめっ子(この子役がまた絶妙にイライラする演技をしてきて凄い)を打ち破るというもの。ただしドレが一方的に教わるんじゃなくてハン先生もまたドレの意思から人間的に成長してお互いを高め合ってく関係性だから見かけによらず奥深い。車の伏線を散りばめておいての「車を元に戻すが家族は元に戻らない」からの影越しに写る修行姿はグッときた。ジャッキー・チェンはこれより過去の作品で色んなアクションをやってたのでそれらを観てからだとメタな意味で昔は達人だったって設定が説得力を増したかも。
自分の思い込みかもしれないけど平安門、卓球、カンフー、紫禁城などが続々出てきて映画を通じて世界に向けて中国の文化のアピールする狙いも兼ねてるのかななんて邪推した。カンフーと空手の違いが分からなくてググったら前者は中国由来で後者は琉球王国が起源らしい。原題にはバッチリ『The Karate Kid』って書いちゃってるけどこれはオリジナル版の名残りっぽい。
相手の攻撃をいなしながら最低限の動作で反撃するジャッキーのアクションはかなり見応えあり。修行の始まりは服を脱いで掛けて取って落として拾って着るの繰り返しで、脱ぎ散らかす癖を治すっていう精神面から鍛えていくベタな展開かと思いきや、あの一連の動作が攻めと守りの姿勢に繋がっているのだと分かるシーンは気持ちが良い。
武術の奴隷にされたリアンはかわいそう。最後にハンに敬意を表したのは、初めて道場に来たときに彼が言っていたようにカンフーを暴力の名分じゃなくて魂と魂のぶつかり合いだと学んだからこそなんだろうな。師範には優勝後も鬱憤が収まらなくて懲らしめてほしいと思ったけど、そこでも暴力で痛い目に遭わせるのではなく指導した生徒たちがついてきてくれないと分かったのは何よりも辛い罰じゃないだろうか。一応道場の師範とハンが戦うシーンも未公開特典として残ってるみたいだけど個人的にはカットして良かったと思う。
オリジナル版は日系人らしいのでまた本作の内容を忘れかけた時に観てみたい。
しゆ

しゆ