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2046の1000のレビュー・感想・評価

2046(2004年製作の映画)
3.8
腐れ外道のヤリチンが数人の女性たちと関係する話。女優さんがみんな美人。
迷走でもなんでもなく、これこそウォン・カーウァイじゃないですか?

肥大化する自意識、陶酔と憐憫。「俺が」「私が」が前面に出まくったクローズ・アップの連続。画面の80%は「顔」だったんじゃないか。
ポストモダンな世界をクールに生きようとする男女は、自らの欲望さえも見下し、障害物や暗闇に身を隠す。覗き趣味にも似たカメラワークは、そんな捻れた男女を見つけ出してあげることで、彼らの承認欲求をバッチリ満たしていく。優しい世界……。
村上春樹を映像化するなら、監督は是非ともウォン・カーウァイで頼む。

ウォン・カーウァイの描く現代人は、(私見の限り)クールどころか最高に暑苦しく、恐ろしいまでに個人主義的。スマートかつオシャレに暮らす都会人、なんかじゃ全然ない。なにもかも分かったような顔して、自分のことすらよく分かっていない、傲慢な男女。サバサバどころか、ネチョネチョだぜ。
まぁ、こう、「一周回って」みたいな拾い方でもしない限り、本作は評判通りの凡作でしょう。悲しい哉。

観る分にはかなり好きだけど、価値観が合わなそうだなぁ、と思うようなタイプの監督ですね。
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