ほわいと

桐島、部活やめるってよのほわいとのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
4.8
初めて観たときは難しい内容だと思ったけど、傑作なのは分かった。予想した以上に面白かったし、その後に色んな人の感想読んでても、様々な見方があって、どんどん好きになっていった。
とにかくゴリラには心底腹が立った、ああいうやついたよ…いや、みんないた気がする、すんごいリアルに感じられる…から、色々イライラする映画だったよ!出演者、みんな100点満点!
特に宏樹くんの彼女役の松岡茉優さん、インタビュー通り良いとこ一つもなく演じられてる、これぞ"ビッチ"女。ビンタだけじゃ済まないよ!(笑)ちょっとした仕草の一つから全てに、イライラさせてもらった、見事。
これこそ、青春映画の真の姿!青春映画、ここにあるってよ!
近年乱発されてる「胸がキュンキュンする!」とかいう青春映画はもうこりごり、学生時代って嫌だったよなーって思える映画があってもいいじゃないか!学生時代っていいよねーってノスタルジーは捨てさせてくれ!あの短い日々…は凄く長かったんだけど、もう返ってこないんだよ!やり直せないんだよ!
クライマックス、全てが集約された屋上のシーン、言うことなし!ゾンビの場面、最高だよ!あのシーンの美しさ、素晴らしい…それまでも良かったけど、あれでかなり底上げされたんじゃないかと思う。
さらに、前田くんと宏樹くんの会話、これがさりげなく、最もこの映画で重要な場面。傑作です。

【友弘、バスケやめないってよ】
映画の中で個人的に最も目を引いたのは友弘だったかもしれない。ということはあの中での自分の立ち位置は友弘なのか?というわけでもないと思うんだけど、あの中で選ばなきゃいけないのなら、最も近いかもしれない。
クラスの中心グループの一人、なんだけども…微妙。彼だけが童貞で女性というものに一番幻想を描いているに違いないっ!という偏見に満ちた見方(笑)あと、地味。そして地味に桐島がいなくなったら困る人。

桐島を待つために放課後にバスケをしていたけれど、桐島がいなくなった後、「なぜバスケをやってるんだ?」という問いに対しての彼のが答えは「やりたいからやってるんじゃないの?」ということだった。でも皆は冷めちゃってて、帰っちゃう。桐島を待つためにやってただけなんだもの…。
でも、ここで本当は彼もそれは分かってたんじゃないないかな?本当の事を答えたら、このイケてるグループでバスケできなくなっちゃうから言わなかったんじゃないの?って思ってしまった。彼にとって「バスケ」もグループと彼を繋ぐ重要なものだったから、手放したくなかったはず。一人でもバスケしてたのは「やりたいから」と言った自分を否定したくなかったんだと思う、自分以外がバスケすることを簡単に放棄して、自分だけがバスケにすがってたことが惨めだったからじゃないかって。友弘以外は彼女もいるし、自分に自信があるから、バスケなんて繋がりは暇つぶしでしかなかったように見える。寺島は友弘に「ならバスケ部入れよ」って言ってるし。

彼だけがグループで彼女もいないし、スポーツも一番できなくて、見た目も良くもなくて(完全に主観です、ごめんなさい。実際は格好良いです、映画の中の話ね!)…かろうじてあのクラスの中心グループにいるような気がした。桐島がいなくなり、バスケをしなくなることで一つ、彼からグループとの繋がりが消えしまう。

桐島を屋上で最初に発見したのも彼で、みんな必死だったんだけど、特に彼が必死に見えちゃった。皆に桐島を見たことを知らせるのも、自分の手柄をアピールしてるみたいに見えちゃったし…。
全体的にこの友弘に対する考察は凄い深読みだと思うけど(笑)
そんな友弘のその後が一番気になる、桐島がいなくなった後の彼が。