予備校に通う受験生の少年と不良少年が夜の台湾の街で生きるお話
最初に見たツァイ・ミンリャン監督作が『日子』だったこともあり、『日子』のようなクソ長い長回しは無く固定ショットを中心に淡々と描いていく感じが見やすくて良かった。二人の人生は交差することは無いものの、受験生の少年が不良少年を一方的に追いかけるような形で物語は絡み合っていく。一方的な羨望の眼差しを不良少年に向け、不良少年は彼の存在を視界にすら入れることなく独自の人生を生きる...という、ストーカー的な映画である。それをツァイ・ミンリャン監督らしい風景を切り取ったような固定ショットで淡々と描く様子が面白く、なんといっても90年代の台湾の風景を切り取った映画として最高だった。不潔な室内、人が密集した予備校内、ネオンが輝く夜の街...今では失われた90年代の台湾の空気感が見事に内包されており、その空気感を味わう映画としてとても良かった！
