ドント

ハロウィンのドントのレビュー・感想・評価

ハロウィン(1978年製作の映画)
4.3
78年。幾度観ても面白さが損なわれない、スラッシャー映画の原点にして原石にして教科書。幼年期に姉を殺害し精神病院に入れられていた男が脱走、ツナギとマスクを盗んで住んでいた町へと帰還し、ハロウィンの夜を悪夢に染める。グロもビックリもほぼなし、殺されるのは片手で数えられるほどなのに、ホラーはここまで怖く美味しくできる。
危険ではあるがいち精神病患者であるマイケルが、ツナギを着てマスクをつけることで人知を越えた「何者か」に変貌する。それにより肉体を持ちながらも幽霊の如く出現することが可能になる。まさに怪物。昼夜を問わずヌラッ、と現れる出現の仕方とタイミングがすべて素晴らしい。藪の端から半身を覗かせる姿、部屋の闇の中から浮き上がる白い顔。美しい。元祖ともなれば溜めることなしに普通の街角にすら出てくる、この度胸。
主人公たちがセカセカ歩きながら会話を交わすシーンが多く、その分ゆったりと動くマイケルの異物感が際立つ。ミニマムな音楽(by監督)も素敵。ジェイソンやフレディと比べるといかにも地味だった彼が、殺人鬼から逃げるゲームへの客演で一躍有名になり、今年40年ぶりの正当なる続編(本作から直接に繋がる)まで作られちゃったのだから世の中わからない。Dプレザンスが存在感があるくせに驚くほど仕事をしない。
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