このレビューはネタバレを含みます
トリックアトリートと子どもたちが口を揃えて叫ぶ夜、少年はマスクをかぶり、ピエロの格好で姉を何度も刺し、殺した。
彼は少年院に監修され、成年となり普通の生活・病院に戻されることとなる。
しかし、少年を見続けてきた主治医の意見では、彼が未だにシリアルキラーとしての要素を存分に秘め、自分を偽っているだけの悪魔だと言う。
主治医は病院での少年の治療を非難する。彼は治らないのだ。そして偽っている。しかし、犯罪者の人権だとか、社会復帰だとか、その手のアホな理由で彼は移されてしまう。
移送されて早々に少年は逃げ出し、どこかへ消えてしまう。
彼は殺人を犯しながら自分の自宅に帰ってくる。彼の目的は、妹の殺害だ。
彼の行動を全く別の見地から考えると、少年は少年のまま成年し、自らの殺人を理解せぬまま社会に解き放されてしまったがために、妹を脅かしてやろうと、つまり、ハロウィンを楽しむためにマスクを被ったとも捉えられる。
そこには殺人に対する思い入れや思想などない。ただただハロウィンにはマスクをかぶり、ナイフで人を刺すことがイベントだと思いこんでいやしないだろうか。
そうなると、無駄に妹の友人たちを殺した理由も一定の整合性が取れる。
物語としては、いい線いってた主治医は完全なる無能で、何をするかも分かっており、どこに行くかも分かっていながら、みすみす何もせず悲劇を生んでしまっており、アホさ加減が半端じゃない。
そしてなかなか死なないブギーマン。
何度撃たれても、刺されても、窓から落ちても死なない。このしつこさが不気味さを音楽以上に表現できている。