旅するランナー

万華鏡の旅するランナーのレビュー・感想・評価

万華鏡(1999年製作の映画)
3.9
【河瀨直美+尾野真千子トーク付上映】

映画監督河瀨直美特集@国立映画アーカイブ。

写真家有元伸也による尾野真千子(15歳)&三船美佳(14歳)の撮影現場ドキュメンタリー。
映画監督、カメラマン、モデル...
それぞれの表現へのこだわり具合が凄まじく、若きエネルギーが放射される。

幼い尾野・三船ふたりが涙するお宝映像があります。
河瀨監督からの厳しい詰問に有元氏が涙ぐむシーンもあります。
上映後のトークで、当時河瀨監督自身も映像スタッフから厳しく言い立てられ泣いて逃走したという告白まである。
芸術家には、色んな涙があるんですネ。
いや~、いい風が吹いてました。

<上映後トーク>
尾野:当時はドキュメンタリーとは何かを知らず、この人たちは何を撮ろうとしてるんだろうと思っていた。
河瀨:この子は物おじしないんじゃなくて、物を知らなかったんだと思います。

尾野:河瀨監督が有元さんを責めている現場に立ち会っていて、「行け、行け~!」と思っていた。

尾野:これは最も封印したい作品です。観ると、昔の自分に引き戻されそう。今でも、撮影現場にいると、河瀨直美の顔が浮かぶ。
河瀨:生き霊やな。
尾野:この作品は40歳になったら観ようかな?
河瀨:あなたが40歳になったら、何か撮りましょう。

河瀨:この映画を撮影している自分を撮影するスタッフがいて、その年上の人たちから、そこまで有元くんを追い込まなくてもいいだろうと、すごく責められて、泣かされてしまった。しばらく行方をくらました。電車に乗って、周りの人たちをじっと見ていた。そして、多摩川べりでひとり一夜を明かした。

河瀨:カンヌ映画祭で審査員を務めた時に、審査委員長のスピルバーグから「常にハングリーでいよう」と声を掛けられた。表現者は新しい領域に進むために、表現を死ぬ気で突き詰める現場をかいくぐる必要がある。