ベトナム帰りの元兵士が、カリフォルニアでカニバリズムを感染させていく。ロメロ監督が確立させた「ゾンビ」から死人要素を取り除き、「食人が感染していく」という設定に転換させている作品。
ゾンビ化した感染者が目の前にいる人を、ついついパクッといってしまう。食事を我慢できない動物のようで、とても可愛らしい。しかし、女優のお色気サービス映像が、序盤にしか登場しないところが残念無念。
「戦争責任を追求するための食人族」「食人嗜好をもたらされた人間の悲哀」という2つの観点を含ませており、食人グループが徒党を組んで行動を始める後半部では、アメリカン・ニューシネマの雰囲気が漂ってくる。
「サンゲリア」と同一の特殊メイクが採用されているが、全体的にホラー演出が稚拙かつ貧弱という印象。製作者の意図はさておき、ツッコミどころを汲み取りつつ、フフフと笑いながら観る分には楽しめる。