ゆみモン

私が棄てた女のゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

私が棄てた女(1969年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

遠藤周作の原作『私が・棄てた・女』を読んだ時は切なさに泣きそうになった。

同じ小説を原作とした、1997年版、熊井啓監督『愛する』を観た時は、ハンセン病と誤診されたことでのミツの不幸が哀れだった。が、ミツ役の酒井美紀が可愛らしいのだが演技が残念だったし、その他もなんとなく踏み込めていないような感じがした。

この『私が棄てた女』は、時代背景のためか、ハンセン病の件がカットされているため、吉岡がミツを棄てた理由やその後の苦悩が弱い気がした。
学生時代に遊んだ田舎娘を、いいところのお嬢様と結婚するために棄てる…というありきたりなストーリーになってしまった。
しかし、俳優陣の演技ははるかに素晴らしい。
河原崎長一郎の吉岡は、優柔不断で情けない感じがピッタリだ。しかし、マリコとミツの二人から愛されるほどの魅力が感じられない。
浅丘ルリ子は美しい。気高いお嬢様役はイメージそのままだ。
そして、ミツを演じた小林トシ江の熱演が光る。田舎臭くていつまでも垢抜けないが、ひたむきで頑固なところのあるミツそのものだ。
火事になったアパートの2階から後ろ向きに落下する最期のしーは、表情もポーズも迫真の演技だ。

ラストで、マリコが吉岡の元に戻って来るのが、違和感があった。何故、吉岡を許したのだろう?