よつ

白痴のよつのレビュー・感想・評価

白痴(1999年製作の映画)
5.0
小説で感じることができる領域と映画で感じることができる領域は違うと思ってたけど、そんな考えを壊されたような心境…。すごく読後感があるのに映画を見終わった感もある…。この感覚がなんなのかうまく分からないが、緻密に大胆に世界観を確立させようとしてきたことが伺えてとても良かった。

映像での語りが凄すぎる。話の筋や住民たちのこと、伊沢の境遇・心情・幻覚と現実の混合をほとんどセリフなしで映像だけで分からせるのがすごい。見てる人を信じてるからできているのだと思う。

近未来の気配と過去の気配、好きだ…。テレビ局内と路上の対比最高だし、何より美術が凄すぎる…。建物がひしめき合って歪んで窮屈そうにしているところとか、銀河ちゃんの衣裳とか。全体的に漂うアングラ感がとても良かった。
本当に言語化に困る映画だ。と言っても考えるな感じろみたいには見えない…。

伊沢の幸が薄すぎてかわいそうを超えてかわいかった。だからこそ最後、映写機捨てて白痴の女を連れていくのが良かった。

これは原作も読みたくなる。
よつ

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