けーはち

山河ありのけーはちのレビュー・感想・評価

山河あり(1962年製作の映画)
3.6
日系ハワイ移民の太平洋戦争前後の境遇を描く反戦ドラマ。ハワイで20数年を過ごし、ようやく生活が軌道に乗ったヒロイン高峰秀子だが、日本が戦争を始めたため次男はスパイ容疑で拷問を受け、長男は兵隊に志願して……と、この上なくド直球に重い展開だなぁ。生き延びてほしかった。音楽はハワイアン🌺のポヨ〜ンとノンビリしたスチールギターによるメロディのテーマが繰り返し登場するが、戦争になると同じモチーフなのに重々しい弦楽の響きが混じり、そしてクライマックスでは泣きのトレモロギターで攻めてくる。同じ人間が、時代の風向きでこうもなってしまう。国破れて山河あり、しかし戦勝国側でも敗戦国側でも虚しく悍ましい戦争が生々しく焼き付けられている佳作。ただ、モノクロなのが惜しい(前半の爽やかなハワイの光景をカラーで観たかった)な。