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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離のgintaruのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

旅行中の男女が列車の中で偶然出会い、恋におちるという、いわば定番中の定番のようなプロットだが、二人の感情描写、語る言葉の内容などが緻密であり、かつ、ウィーンの街中を歩く中で差しはさまれるエピソードが魅力的なので、説得力のある構成となっていて素晴らしい。
ちょっと前にこうした点がダメダメな映画(奇跡のシンフォニー)を見た後なので、余計によくできた映画だと感じた。
舞台はウィーン。自分も訪れたことがあり、路面電車にも乗ったし、プラターに行き観覧車にも乗ったし、二人が夜を過ごす公園にも行ったりしたので共感するところが多かった。
期待するほどウィーンの名所がずらずらと出てくる映画ではなかったが、映画の流れは自分がまるで恋人とウィーンの街を歩き回る追体験をするかのようなワクワク、ドキドキ感を感じさせた。
ストーリーは意外というほど何の事件も起こらずスムーズに進展する。自分は何か意外なサプライズとかトラブル、アクシデントなどがあるのかなとも思いながら見ていたのだが。
例えば、川沿いで吟遊詩人のような男に詩を書いてもらいそれを受け取ったセリーヌが、やっぱり読んでと言って男に読ませた後、ジェシーに手渡すシーンがあるが、これは実は男が読んだ内容と書かれたものが違っていたと言うようなことがあるのではと思ったが、そんなことはなかった。また、路地裏を歩いている中で男数人が二人をずっと見ているというシーンでは、その後二人が絡まれたりするのかと思ったが、そういうこともなかった。二人がバーでワインとグラスを手に入れるというシーンでも何かトラブルになるか、ワインをくれた店主と後で何かあるのかと思ったりもしたがそういうこともなかった。このように何かの伏線なのかとにおわせながら実はそうでなかったというシーンがいくつもあるが、それが見ていてドキドキ感を増やす演出なのかもしれない。
別れもある意味予定どおりで、二人は翌日の予定を変更することなく別れてしまう。再会の約束はするが、連絡先を交わすこともなく半年後の再会を約束するだけ。すがすがしさを感じるとともに当然続編を期待するよねえ。
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