このレビューはネタバレを含みます
1995年 ”恋人までの距離（ディスタンス）”
監督リチャード・リンクレイター
脚本 リチャード・リンクレイター キム・クリザン
前々からずっと気になっていた作品です。先日 BS放送にて鑑賞しました。もうすごくいい！まさかここまで素晴らしいラブ・ストーリーとは思っていなかったので、久々にテンションが上がりまくりでした。
ストーリーらしいストーリーはないのです。
二人の旅する男女が、知り合ってから別れるまでの、おそらく14時間ほどの「様子」が「映されて」います。
まったく芝居っ気がありません。中身は二人の会話だけ。
それをそばにいて盗み聞きしている、そんな感じです。
最初に出てくる車窓の風景、
美しいウィーンの街並みも音楽のセンスも素晴らしい♪
ヨーロッパの京都かな。。。
一般のカップルのような自然な2人が最高に素敵な映画。
イーサン・ホークもいいけどなんといってもジュリー・デルピー!!
俺もこんな美人で知的でそれでいてエロさも兼ね備えた女いたら惚れるっつーの。。。。。。。。。。余韻の残るラストシーンもいいし
そもそも二人は、列車の中で知り合います。
アメリカ人新聞記者ジェシー（イーサン・ホーク）とフランス人ソルボンヌ大学生セリーヌ（ジュリー・デルピー）はブダペストからウィーンに向かう列車でたまたま隣合わせに座り、なんとなく気が合う。セリーヌはパリに帰る途中だったが、ジェシーはウィーンで明朝にアメリカ行きの飛行機に乗るまで一晩をウィーンで過ごす、ホテルに泊まる金もないから一晩ぶらぶらするつもりだが、「一緒に降りないか」とセリーヌ誘う。セリーヌはジェシーに魅かれるものを感じて一緒に列車を下りる。
夜のウィーンの街を朝まで練り歩きながら、行く先々の店に立ち寄り、行く先々で占い師や詩人、ストリートダンサーたちと出会い、街にある些細なものから建物まで目にしたものについて二人で語り合う。。。。
二人のあいだで、人生論から恋愛論、はたまたフェミニズム論や宗教論まで、いろんなテーマが語られます。
その会話がなんとも知的かつ粋なのです。
意気投合の二人が恋に落ちるのは、自然な成り行き・・・。
ある喫茶店で、二人は、それぞれがそれぞれの友人に電話をかけるという仮定での電話あそびをします。それぞれが相手の友人役になるのです。目の前の相手のことを、その仮想友人に紹介しあうのですが、こんなおしゃれな会話は、二人が両方、相当高度なセンスの持ち主でない限り成り立たない。
序盤の路面電車の中での「質問タイム」もそう。
そして訪れる別れの朝。二人にとっては永遠に続いてほしかったであろう一夜はあっという間に終わる。駅での別れのシーンは定番中の定番であるけどあえてドラマティックな演出を避けているのがむしろ余韻を残して良い。ケータイ（この頃はないのか）はおろか手紙や電話でのやりとりさえ二人はしようとしない。そのツールを使うことにより何かが壊れてしまうことを恐れているかのようだ。二人は半年後の同じ場所で会う、という偶然性を残した約束を交わして別れる。
すべては偶然の気まぐれのように見えて、実は初めから惹かれあう二人の必然だった。
ウィーンで下車した映画序盤からすでに恋は始まっていて、クライマックスから別れまでのエピソードの一つ一つがロマンチックでお互いの心が離れがたく一つに結ばれてゆく、なのに、別れてゆかなければならない切なさ。
お互いに気になりつつも、すぐに踏み込んじゃうと警戒されるから、様子を見ながら一歩一歩近づいていく
２人の距離感が絶妙でひきこまれた。
初めて会ったとは思えないほど意気投合しちゃって、初めて会った人だからこそ気兼ねなく何でも言える・・・・・ステキな関係だな。
明日には別れちゃう、２人の関係は終わりが見えているからこそ切なくてロマンチック。。。。ラストもよかった。
―――ああ、この映画、若いうちに観ておけばよかった！
