くぅー

この自由な世界でのくぅーのレビュー・感想・評価

この自由な世界で(2007年製作の映画)
3.8
勝ち気で頭も切れて、優しさも持ち合せているシングル・マザー・・・息子との幸せの為に稼ごうとするが、ある意味当たり前の行動が落とし穴にもなる。

自由が謳い文句の資本主義経済・・・利潤追求のピラミッドが競争を産み、搾取なる言葉まで生まれ、自由の名の元では騙す方も騙される方も同じ穴のムジナになる。

自らに由ると書く自由・・・束縛のない世界だが、倫理がない世界ではなく、自らを見失うと自らの大事なものを失いかねないという帰結の図式もお忘れなく。

ケン・ローチ監督は静かに労働者の自由の自覚を問う・・・労働者である前に人間でもある訳で、途中で謝礼を断る青年との表情が印象的で、前向きっぽいラストのあの二人の表情の違いをみたら、思わず我に帰ってしまった。
くぅー

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