バーバラ・スタンウィック×バート・ランカスター。今はなき電話交換機の仕組みをフル活用したフィルム・ノワール。
病床に伏す製薬会社の社長令嬢レオナが、電話の混線により、殺人計画と思しき会話を聞いてしまい、何とか防ごうとする。
"Sorry. wrong number."☎️
『スクリーム』に代表される電話スラッシャー映画の元祖。ほぼリアルタイムサスペンス映画なのが特徴で、夜の9時から10時45分までの出来事が、電話での会話劇とそれに伴う回想劇を交えながら、約90分で描かれる。
バーバラ・スタンウィックの熱演。死の恐怖に怯えるヒステリックな演技は真に迫るものがあった。
印象的だったのは、レオナの部屋が牢獄のように演出されていたこと。照明、カメラワーク、フレーミングが巧みだった。中でも、二階のベッドにて電話で必死に助けを求めるレオナから、ゆっくりとズームアウトしていき、窓を通り抜けて、一階の屋敷の壁に映る男の影まで繋げたワンショットは見事だった。一気に緊張感が高まった。
冒頭のテロップとラストの台詞。ガツンと絶望の淵に突き落としてくる感じが堪らない。最近の映画にはない潔さがある。
In the tangled networks of a great city, the telephone is the unseen link between a million lives... it is the servant of our common needs ~~ the confidante of our inmost secrets... life and happiness wait upon its ring... and horror... and loneliness... and... death!
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