田最環

泥の河の田最環のレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
3.5
なんとなく視聴。
戦後間もない頃に作られたのかなと思いきや80年代作品なんですね、これ。

のっけから衝撃的な始まり方するので引き込まれてしまった。

いわゆる戦後の貧しい人たちの生活を描いた話。その中で子供がさまざまな経験をすることで単純なようで複雑な関係を築き、壊れてしまう?のがリアルでよかった。
信雄父が電車で読む新聞に、「もはや戦後ではない」と書かれているのは本作への皮肉か。

中でも米びつに手を突っ込むシーン、カニを燃やして遊ぶと言う価値観がそれぞれの境遇の違いを表しているのが見えてくる。

子供って残酷な遊び思いつくよね…。私の同級生は、蟻の足を一本ずつ抜いてみたらどうなるか?を夏休み自由研究にするって言ってたなあ。

子役三人が妙にハマっていでよかった。

喜一の母役めちゃくちゃ美人だなって思ったら加賀まりこさんだった。平成生まれからしたら名前しか知らないが、若い頃の美貌が凄かったと聞きます。

信雄の父、田村正和のお兄さんなんですね。寺山修司に少し似てるなって感じました。
信雄母の明るさによって幾分か、家庭の格差という問題から顔を背けられているシーンがあったように思う。

お化け鯉は結局何だったのだろう…
舞鶴にいる女性はおそらく信雄父が戦争行く前に結婚していた元妻になるのかな。

終盤は、人間関係が濃い分、あんな姿を子供に見られたらまあ、気まずいしプライドもあるから場所を移したんでしょうね。

信雄は死を引き寄せるのか、周りの人が亡くなること多いね。当時はいつ死んでもおかしくない環境、時代だったんでしょうね。あの船、台風や大雨で流されるか、喜一の火遊びで焼け沈むオチを想像してたらあっさりと終わりましたね。
田最環

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