実際の太平洋戦争を戦後といわれた時代まで戦った日本人兵士を描いた話。
私が知っていた人物とは違う名前(横井庄一さん)だったが、割とこういった終戦を知らないまま現地で戦い続けた兵士はちらほらいるそうな。そのまま現地に残って定住した人もいるのだろうか。
青年期、壮年期いずれも演技がうまくて見入った。青年期演じた人、鼻が綺麗だよね。
また上司である谷口の演技も良かった。旧日本軍といえば体育会系、精神論、玉砕を掲げるイメージなのだが、どことなく理知的でスマートな感じが見えた。
洗脳といえば洗脳なのかもしれないが、死ぬより、自分を司令官としてなんとしてでも長期戦で生き延びるといった思想は日本軍の戦訓とも相反しているのが興味深い。
後半は現地民を敵とみなし殺害、食料剥奪をして生き延びるが、案の定仲間を殺害される。
ラジオからえた情報やおそらくただの俳句と思われる一句すらも暗号とみなして解読に勤しむ様は狂気を感じた。戦争、孤独は身だけでなく心、思考にも影響を与えるんですね。
小野田に会いにきた旅人は実話なんですね。わざわざ会いにきて日本へ帰るきっかけを与えたのだからすごい。この方の人生も興味深い。ネットの流通が少ない時代各国を旅できた人は羨ましい。
約30年戦い続けたのは、実は終戦は薄々勘付いていたが、現地民からの報復を恐れジャングルから出て来れなかったのでは?という推測もあってなるほどと感じた。
日本へ帰国後、比には日本政府から賠償金を払っているそうな。
日本人兵士を、美談として描くわけでもなく淡々と中立的に話が進むのでそこが良かった。